枯れないように水をやろう2

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『失はれる物語』 乙一

失はれる物語

この前読んでいた『ZOO』とは打って変わって。

タイトルと表紙から、少し連想できたように、ホラーではなく

儚げで、幻想的で、美しく、ロマンチックに。

この作品も短編集で、

Calling You

失はれる物語

傷

手を握る泥棒の物語

しあわせは子猫のかたち

ボクの賢いパンツくん

マリアの指

ウソカノ

特にお気に入りは「しあわせは子猫のかたち」

簡単に言えば、自分の世界に閉じこもっているような

学生の男と幽霊の話で、どこかで聞いたような話でもあるのだけど

物語の雰囲気が好きで、優しくて、幸せに満ちている。

でも、絶対的な別れが感じられて、その間の日常が、

とてもすごく好きになれた。

「Calling You」と「傷」は以前読んだことがあったけど、

改めて読むと、やっぱりいい話だなって思った。

昔これが収録されていた本を売った自分に、何故にと問いたい。

タイトルでもある「失はれる物語」は、

とても残酷で辛い話ではあるけど、優しくも感じられた。

『ジョニーは戦場に行った』のような植物人間になってしまう話だが、

ジョニーよりかは、絶望感、悲壮感は無く、

安心して読めたというと嘘になるけど、だいぶ自分の心は楽だった。

総じては、乙一という人は、想像力に溢れていて、

強い人というより、弱い人の心を描くのが上手いと思った。

何が強くて、何が弱いとかは、よくわからないが、

その弱い人の心の強さを思った。

そう書くと、その弱い人とは強い人ではないかと思うが、

なんて言えばいいのだろう。

マイノリティとなるのか、世間的に軽く扱われているとなるのか、

よくわからないが、とにかくそんな風に感じられた。